台風8号の接近に伴い、私の住む集落には避難勧告が出されていた。
数日前の豪雨で集落内の道路が決壊して通れなくなった。
地区の中心地へ行くための道路。
迂回路はあるが、こちらも法面が崩れかかっていてる。
土砂で道路が埋まってしまうと、集落が孤立してしまう。
そのため、避難勧告が出された。
の、だと言う。
我が家には車椅子生活の父がいる。
父をキチンとしたところに避難させない限り、母と私は避難できない。
ので、勧告は出ていたが、家に残ることにしていた。
父は、いつもお世話になっている施設ではなく、隣町の施設へ避難したらどうかと助言を得た。
しかしその施設は家からも遠く、大きな川の川沿いに建っている。
大雨ならなおのこと、水が心配。
母は隣町の施設より家の方が安全だと言う。
私もそう思った。
実は、避難するようにとの電話が何度もかかってきた。
地元の駐在所から何度も何度も避難を促す電話があった。
あんまり避難しろというものだから、終いには腹が立ってきた。
父を安全な場所に避難させない限り、私と母も避難できない。
で、激しいやりとりがあって、父をいつもお世話になっている町内の施設に預かってもらうことになった。
ので、母と私も避難勧告に従うことにした。
同じ集落にするおじ、おば、いとこたちは我が家ともう一軒のおば宅に避難することにしていた。
しかし、駐在所の説得を受け入れ、最終的には勧告に従い、指定の避難場所で一夜を明かした。
集落内は全員避難した。
が、一人だけ、避難所から家に戻って過ごした人がいた。
台風8号は勢力が衰え、大きな被害もなく通り過ぎていった。
我が家は紅梅の枝が1本折れていた。
父はきょう夕刻に帰宅することになっている。