調査期日は2月1日。
農林業センサスの農林業経営体調査がはじまった。
私も調査員の一人として調査区内を回っている。
確か5年前も同じ区域を回ったような気がする。
調査員説明会のときに諸道具を渡された。
経営体の名簿ももらった。
その中の1割以上は死亡または転出、長期不在の人たちだった。
若い頃、30年ほど前も調査員をした記憶がある。
その頃と、状況はガラリと変わった。
30年前は今の80代の人たちは50代。
元気もやる気も馬力もあった。
そのまま、年数を経て今、もはや農家ではなくなった世帯が多い。
前回は1畝(1アール)以上あった野菜畑も、今回は全く畑は作っていないと言うところが多い。
しかもその人たちの多くは、ご主人に先立たれた女性たちだ。
前回は家に隣接する床畑に大根の30本も見かけられたが、今回はそこが原野になっている。
何と言うか、やるせない。
私の住む集落では、集落内で畑を3反以上作っている人はいない。
もう、農業集落とは言えないのではないかと思う。
5年後はまだしも10年後は、どれだけの住民が集落に残っているのか。
センサスの調査先のある家で聞いた。
「92歳になる。私は長く生きすぎた」と。
私が「そうおっしゃらずに長生きしてください」と言うと、
「これ以上長生きしても何も変わらない」と言われた。
正直、私は何も返す言葉が見つからなかった。
「限界集落」。
頻繁にメディアから流れ出てくる言葉。
政治家の口からもしかり。
その言葉はテレビの中から流れてくるが、
ひたひたと私の住むところへと近付いてくる。
人間の活動領域の後退が進むだけだ。