今日から長月。日差しが強いながらも
爽やかな涼風が吹いた日だった。
夕刻帰宅してみると、
母は家中の窓を開け、網戸にして
家の中に爽風を招き入れていた。
今日はエアコンを使っていない。
三ヶ月ぶりぐらいだと思う。
今日はそんなにも涼やかな日だった。
虫の音が一段と高くなってきている。
コオロギと鈴虫が多い。
今年も秋風が吹いてきた。
夜明けも遅くなり、日暮れは早くなってきた。
秋は空気が澄み、雲の形状も良いことから、
夕日や夕焼けの写真を撮るのに絶好の季節だ。
眼下に広がる天草灘、沖に浮かぶのは奇岩大ヶ瀬。
その遙か向こうの水平線に沈む夕日の絶景を
パチリと写してみたいのは私だけではないだろう。
以前は時季になると、沢山のカメラマンが
三脚を並べて、夕景を切り取っていた。
今でも彼岸の頃には何人かが訪れる。
思い思いの場所に陣取り、構図をかまえ、
日が落ちてゆく時間に気もそぞろ。
この秋もまた愛好家は訪れるだろうか。
子供の頃から水平線に落ちる夕日を目の当たりにしてきた。
慣れ親しんだ風景だが、
年に数回は息もつかずに見惚れる夕景がある。
そんなときは、カメラのシャッターを切ることさえ忘れ、
目ん玉カメラで脳裏に写して瞬きシャッターを切る。
我に返れば、大空が夕焼け色のカンバスだ。
BY 詩人のひろじい